劇団劇作家ブログ
現在、劇団劇作家に参加している劇作家がお送りする日常のあれこれ
白河の蔵座敷
2012年05月13日 (日) 13:50 | 編集
 「ご出身はどちら」と聞かれたら困る。私は生まれたのは福島だが一歳半で神戸に引っ越した。神戸出身にした方がおしゃれかなと思い、神戸と答えてきたが、福島出身の人に会うと同郷の人と言う親近感がある。
 両親は福島の仲通りの出身。神戸で育っても毎年、夏は福島で過ごすことが多かった。
 父方の祖父母はいなかったが母方の祖母は元気で毎年私たちの訪問を喜んでくれた。『都をば霞とともに立ちしかど秋風ぞ吹く白河の関』でよまれた陸奥の入り口、白河が母方の生家である。
 祖母は母屋の長い廊下をたどっていった先の蔵座敷に一人で住んでいた。地震に備えて、年寄は蔵座敷に住むのが安全だからと聞いたが。やはり東北には昔から地震が多かったのか。私はかび臭い薄暗い蔵は苦手だった。冷たい石段を上がると十畳くらいの座敷があり曾祖父と曾祖母、祖父の大きな写真が飾ってあって、子供の私にとってそこを通るのも恐ろしかった。祖母はその奥のだだっ広い座敷に北窓の明かりを頼りにして一日中、針仕事をしたり本を読んでいた。三十年日当たりの悪い部屋で過ごし祖母は、11月3日の文化の日の朝、孫が蔵の戸を開けたら亡くなっていた。祖母のいた蔵は数年前、道路拡張で取り壊されて今はない。
 佐藤喜久子
非戦を選ぶ演劇人の会 in 伊丹
2012年05月11日 (金) 00:00 | 編集
劇団劇作家のメンバーも実行委員やお手伝いとして関わっている「非戦を選ぶ演劇人の会」の公演のお知らせです。
今回は大阪公演。劇団劇作家のメンバーである石原燃が中心として頑張っています。
大阪方面の方、是非、いらしてください!

当日は私も大阪までお手伝いに参ります。 篠原久美子




AI・HALL提携公演
非戦を選ぶ演劇人の会 in 伊丹 ピースリーディング vol.1

『私(わん)の村から戦争が始まる』
〜沖縄やんばる・高江の人々が守ろうとするもの〜


【日時】2012年5月 9日(水)19:00
2012年5月10日(木)14:00/19:00
※公演終了後にポストパフォーマンストークを行います。詳しくはHPをご参照ください。 ⇒ http://hisen-engeki.com/

【会場】AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)


沖縄県、東村高江(ひがしそんたかえ)は、沖縄本島北部の「やんばる」と呼ばれる豊かな森に囲まれた、約160人が住む小さな集落です。
このやんばる地方には広大な在日アメリカ軍施設「北部訓練場」があり、隣接する高江集落でも昼夜問わず軍用ヘリコプターが上空を飛び交っています。
1995年、日米両政府による「SACO合意」に基づいて、米国は北部訓練場の約半分を返還することを約束しました。沖縄の負担は軽減されるはずでした。
ところがある日、高江集落を囲むように、米軍のヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)を新たに6つ、増設する工事が始められました。北部訓練場一部返還の条件として、返還される部分にあるヘリパッドを高江に移設するということが取り決められたためです。話し合いを求める住民の声を無視して計画は進められていきました。
2007年の夏、このままでは高江に人が住めなくなる!と考えた高江の住民たちは、工事現場の入り口で、座り込みを始めました。


▼作:清水弥生(燐光群)
演出:内藤裕敬(南河内万歳一座)


▼出演者(五十音順)
円城寺あや、大森一広、尾崎麿基(劇団五期会)、岡村宏懇、河東けい(関西芸術座)、キタモトマサヤ(遊劇体)、栗塚 旭、千田訓子(リリパットアーミーII)、出口弥生、蟷螂 襲(PM/飛ぶ教室)、中川浩三(Zsystem)、中道裕子、はしぐちしん(コンブリ団)、橋本浩明(燐光群)、平岡秀幸(動態プロジェクト)、みやなおこ、もりのくるみ、わかぎゑふ(リリパットアーミーII)


▼料金(全席自由・税込)
大人1,500円/中高生1,000円/小学生以下500円


▼チケット取り扱い
・WEB予約
PC用:https://ticket.corich.jp/apply/34933/001/
携帯用:http://ticket.corich.jp/apply/34933/001/
・MAIL予約 ticket-takae@…
・TEL予約 072-782-2000(AI・HALL)9:00〜22:00/火曜日休館
・TEL予約 080-5498-5037(非戦を選ぶ演劇人の会)
※チケットに関するお問い合わせは、080-5498-5037(石原)まで。


▼お問い合わせ
非戦を選ぶ演劇人の会
TEL:080-5498-5037(石原燃)
FAX:06-7891-0731
http://hisen-engeki.com/

おとーさん、おかーさん
2012年05月06日 (日) 21:42 | 編集
こんにちわ。坂本鈴です。
昨日は陽子ちゃんが泊まりに来まして。
ひさびさの徹夜。
ひさびさの貫徹。
のどがかれるほどしゃべった。ぶっつづけ。
そしてねむいのに、なんか、へんなテンションで眠れん。


夜通し、ミュージカルプロット作成。
わいわい話してたら終わったかんじで楽しかった。
陽子ちゃんの因果律の美しいプロットと私のビジュアルイメージの相性が合ってきて、
二人でやると、はやい。すごく。
とにかく仕事いっぱいしました。


昨日は夕方はどろんこWSで。まあガチゲキの会議も含めて、陽子ちゃんと一緒に行ったんだけども。
黒川陽子、芝居してましたよ。
ナチュラルでいい芝居をしていました。劇研だもんね。


あと、エチュードやらせるとセリフがキレてます。劇作家だもんね。
ちょっと、劇団劇作家にみせてみたかった。
新たないちめん。


どろんこワークショップは、もうなんかたくさん来てて、わちゃわちゃしてた。
ガチゲキ出てたひととか。ガチゲキ観てくれたひとがたくさんいて、色々はなせて嬉しかった。
嬉しいなあ。
またやりますよ。ガチゲキもね。
飲み会でどろんこプロレスの主宰と陽子さんと私で会議して
現在企画書作成中。


そしてあれです。坂本主宰の劇団も再起動です。
劇団ダルメシアン→だるめしあん企画→劇団だるめしあん
に、なります。
名前ころころかえましてすみません。諸事情につき。
近々どーんと公開します。
絶賛会議中。


観たい劇もいろいろあります。
あうあうあう。



もう脳みそぱんぱんね。
だというのにねむくてのうみそがはんぶんみたいだ。
おとーさんとおかーさんはいまはフランスにいるそうです。



おとーさん、おかーさん。
なんか色々あるけど、わたしのまわりはいま全部えんげきで。
くびまでうまっておぼれそうで。
幸せです。


すきなことばかりしているおとなになりました。
こんな好きなこととすきなものとすきなひとに囲まれて好きなように東京で暮らしてる30歳になるなんて、幸せな想像していなかった。


えんげきなんてもう残念なほど愛にみちみちていて
ほとんど愛と奇跡でうごいていて
愛をさけぶほかありません。


しあわせです。
ありがとう。
チェルノブイリの栗の木からフクシマの桜の木へ
2012年05月06日 (日) 10:24 | 編集
劇作家のふじたあさやさんが、海外での児童演劇の大会の帰り、キエフにあるチェルノブイリ博物館に立ち寄ったというお話を先日聞きました。大きな博物館の展示の、三分の一が原子力発電所の仕組みや事故の経過で、残り三分の二は犠牲になった人々に関する展示だったそうです。全ての犠牲者の写真や遺品、思い出の数々。展示の後半は子どもたちのコーナーで、沢山の人形やおもちゃが置かれていたそうです。
言葉もなく展示を見つめて、最後のコーナーに来ると、そこには福島第一原発の事故のビデオがノンストップで流れていたそうです。
その横にロシア語の詩があり、へたくそな日本語訳がついていて、それは「チェルノブイリの栗の木はフクシマの桜の木を思っています」という内容でした。
「不覚にも涙が出ました」と語ったふじたさんは、30年前に「臨界幻想」という芝居で、原発で働く労働者の放射線被曝とその死を母親の視点から描いた方です。芝居のラストは福島原発をモデルにした原発の過酷事故でした。青年劇場はこの芝居を全国の原発所在地と立地予定地とその近在の大都市、24箇所で上演しました。私もスライド係りとしてその公演班にいました。
311の事故を見てふじたさんは「悔しい」と思ったそうです。それは私も同じです。
30年前にこの芝居を上演した劇団が、今の視点でもってこの芝居を見、上演する…。セミドキュメントのような公演「臨界幻想2011」が幕を開けます。ぜひ多くの方にご覧戴きたいと思います。

青年劇場公演 「臨界幻想2011」
紀伊國屋サザンシアターにて
5月18日(金)19時
19日(土)14時・18時半
20日(日)14時
21日(月)休演日
22日(火)14時・18時半
23日(水)14時
24日(木)14時・19時
25日(金)19時
26日(土)14時・18時半
27日(日)14時
お申し込み・お問い合わせ 03−3352−7200
ticket@seinengekijo.co.jp
『わが町』の勉強会をしました
2012年05月02日 (水) 18:31 | 編集
お久しぶりです、黒川です。
先月の25日に劇団劇作家内の勉強会が開催されました。
題材はソーントン・ワイルダー作の『わが町』、講師は早稲田大学教授の水谷八也先生です。


何を隠そう、水谷先生は私の恩師で、早稲田大学の修士時代にゼミで2年間お世話になりました。
当時はちょうど先生がサバティカル(研究休暇)に入る直前だったということもあり、ゼミ生をあまり募集しておらず、なんと2年間、先生と私の一対一のゼミが繰り広げられました。


一対一のゼミは楽しいです。


個人の趣味が爆発します。


英米文学のゼミであるにも関わらず古今亭志ん朝の落語について語り合ったり、フランスの画家アンリ・ルソーについて語り合ったりしました。


rousseau_portrait01.jpg
アンリ・ルソーの自画像。


ちなみに、アンリ・ルソーは人物画を描く際にモデルの目や鼻や顔の大きさを綿密に採寸し、それをそのままのサイズで(遠近法などは一切無視して)キャンバスの上に再現したそうです。それゆえに「自分ほど厳密なリアリズムの画家はいない」と自負していたのですが、なぜか「素朴派」という分類にされてしまったそうです。
また、初めて個展を開催した際にチラシに会場の情報を載せ忘れたためお客さんが一人も来なかったり、自分の作品を売る際にはその作品に使った絵の具の色の数で値段を決めていたりという、衝撃のエピソードもあります。


B’zは曲を作る際に松本さんと稲葉さんがアイディアを出し合い、出されたアイディアはとりあえず「やってみる」という方針をとっているらしいですが、私たちのゼミも興味を持ったことはとりあえず「話してみる」という方針であったため、一度出された話題はとめどなく枝葉を広げていくのでした。
とても楽しい2年間でした。


今回、ワイルダーの『わが町』を語るにあたって、水谷先生は以下のように前振りをしました。


「『わが町』は非常に簡単な英文で書かれており、「日常って大切だよね」ということを書いた無害な作品だと思われている節があります。でも本当は、高い技術を駆使しながら、とてつもなく大きなものを壊そうとした作品なのです」


その壊そうとした「大きなもの」とは簡単に言ってしまうと「近代の劇場の常識」や「近代的な感性」なのですが、それを壊すためにワイルダーがいかに丁寧に常識を覆し、観客を誘導していったかということが、テキストを追いながら説明されていきました。


たとえば、ワイルダーが行った工夫の一つに「時間の操作」があります。


『わが町』の舞台はニューハンプシャー州のグローヴァーズ・コーナーズ、第一幕の日付けは1901年5月7日であることが冒頭で明言されるのですが、その後、主な登場人物のギブズ夫妻が初めて舞台上に現れた際、「舞台監督」(という登場人物がいます)が以下のような説明を加えます。


舞台監督 ギブズ先生が亡くなったのは1930年でして、いまの新しい病院には先生の名前がついています。奥さんのほうが先でした。だいぶ以前のことですがね。


1901年と明言されている舞台に立つ舞台監督が1930年のことを過去形で語るという現象、また、目の前にいる登場人物が「既に死んでしまっている」ことを知らされるに至って、観客の中には「今はいつなんだ?」という微かな混乱が生まれます。このように時間の焦点を何気なくズラしていくことによって、「舞台上で起きていることは確固とした別の時間に起きていること」という客席の常識を覆し、近代の劇場に強力に存在した「第四の壁」(舞台と客席とを隔てる目に見えない壁)を取り払うことを試みたのでした。


その目的を達成するためにワイルダーが積み上げていく努力は見事で、上記のちょっとした時間の混乱に引き続き、極端に大昔の話をする(ウィラード教授がグローヴァーズ・コーナーズの地質学的背景について話すエピソード)、観客が既に知っている情報を舞台上の人物が後から知るという場面を設ける(ウィラード教授が舞台監督から双子誕生の話を知らされるエピソード)、舞台袖の時間が客席の時間と並行して流れていることを感じさせる(ウェブ氏が指を怪我するエピソード)等々を何気なく重ねていき、ついに観客が舞台監督と直接話をする場面に至ります。その丁寧に壊していく感じ、観客に「いつの間にかここまで連れて来られてしまった」と思わせるいわば理知的な魔法を、劇作家としては是非とも使いこなせるようになりたいと思ったのでした。




そして、近代的な感性を破壊した後にワイルダーが何を見せようとしたのか。




ソーントン・ワイルダー〈1〉わが町 (ハヤカワ演劇文庫)ソーントン・ワイルダー〈1〉わが町 (ハヤカワ演劇文庫)
(2007/05)
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今回のテキストとして使われたのはハヤカワ演劇文庫の『わが町』(鳴海四郎訳)ですが、この本には水谷先生による細かな訳注と解題がついています。とてつもなく壮大な副音声を聴いたような感覚を覚えますので、よろしければ是非チェックしてください★



201204252235000.jpg
打ち上げの席での水谷先生(左)と私。
ブログに載せるための写真を撮らせてくださいとお願いしたら、なぜか突然、昼間に行ったという平成中村座の劇場の写真を見せてくださり、「・・・は、早く撮って!」とのことでしたのでこんな写真になりました。
私の下の親知らずが歯茎の中で横向きに生えてしまっていることが発覚したとき、「本当に抜かなければならないかもう一度確かめた方がいい」と熱心に助言してくださった、医者嫌いの恩師です。


黒川陽子
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