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劇団劇作家ブログ
現在、劇団劇作家に参加している劇作家がお送りする日常のあれこれ
ロンドンから(2)
2007年10月30日 (火) 01:10 | 編集
 前回のブログを書いた後、長い間書かずにいて済みませんでした。
 まあ、ちょっと色々なことがあったのですが、それはさておき。

 ロンドンです。寒いです。雨です。
 今、コインランドリーにいますが、ものすごく込んでいます。みんな乾燥機待ちです。
 乾燥機が空くのを待ちながら、この文章を書いています。
 前回、「次は恐るべしロンドンの地下鉄について」書くと宣言したのですが、慣れるということは恐ろしいものです。谷川俊太朗さんの「生きる」という詩に倣ってみれば、
 「なれるということ ちかてつはとまるということ」
などと言えそうです。
 よく、ロンドンの天気は変わりやすいと言いますが、私には地下鉄の方がよっぽど変わりやすいのでは? と思われるほどです。
 たとえば…。

 私の下宿から大学までは、最短で55分、最高で2時間40分かかります。大学初日、いきなり地下鉄が止まりました。しかもキングス・クロス駅という、乗り換えのメインになっている駅の一駅手前で。駅員に聞くと、キングス・クロスまではバスか歩いて行ってくれと言われ、外に出て道を聞くと「遠いよー、よく知らないけど」と言われ、困っていたところにタクシーを捕まえた女性が「キングス・クロスに行くなら乗っていく?」という優しいお言葉。早速乗せていただいたけれど、本当に遠い…。これを歩けと言ったのか、駅員! しかもやっと着いた地下鉄の駅、なんと階段の入り口でシャッターが閉まっているという衝撃! シャッターの前にはものすごい行列!(だって月曜日の朝の通勤時間ですよー)。 この駅、地下鉄の路線が7本も乗り換えられる駅で、一本くらい路線が止まっても、なんとか他の路線で行く方法はあるのに、駅の入り口のシャッター、閉めちゃうって、信じられない…! 並んでいる人に、「どのくらい待てば開きそうですか?」と聞くと「誰にも分からない」と言われ、さらに「ロンドンではよくあることよ」と言われてしまい、初日からものすごい洗礼を受けました。結局、インフォメーションなどで聞きながら、国鉄で途中の駅まで行き、そこからは動いている地下鉄の路線とタクシーを使って大学に行きました。

 またこれは私の友人(日本人)の話ですが、彼女はその日、「一日乗り放題」の地下鉄のパスを買っていました。こちらにも日本のスイカのような便利なカードがあって、バスも地下鉄も国鉄もこれ一枚で乗れます。やはりスイカと同じようにタッチするだけで通れるのですが、彼女はその日、ある地下鉄の駅で降りたところ、駅員から「改札が壊れたからタッチしないで通っていい」と言われて通りました。で、彼女は芝居を観てその駅で地下鉄に乗って帰ろうとしたところ、なんとまだ終電前の時間だというのに改札にシャッターが降りていて入れません。駅員は「ここはもう閉まったから隣の駅に行ってくれ」と言うので隣の駅まで歩いたところ、その駅では彼女のパスは「出るときにタッチしていないから、もう一度、初乗り料金を払ってくれ」と言われ、さすがの彼女も抗議しました。「隣の駅で通っていいというから通ったし、隣の駅がシャッターが閉まっていて乗れないからここに来たのにおかしいでしょう」と。当然の抗議なのですが、駅員の答えは、「それは隣の駅の問題でこの駅の問題ではない。初乗り料金を払わなければ乗れないけどいいのか?」。彼女もさすがに終電の時間が気になり、料金を払ってしまいましたが、こちらの地下鉄の初乗り料金は日本円で800円近くします。これ、すごい出費ですが、どうしてこういうことになるのか、いまだに全く分からないままです…。

 しかし、これはもしかしたら私たちが日本人だからで、ロンドンっ子はこんな理不尽な目には遭わないのではないか、という淡い期待もあったのですが、どうもそうではなさそうです。
 ロンドン生まれでロンドン育ちのある演劇人と一緒に地下鉄に乗ったときのこと、ある駅でいきなり列車が止まりました。で、アナウンスがあったので「どうしたの?」と彼に聞くと「ああ、他の路線の信号事故だから、こっちは関係ないよ」という答え。安心して乗っていると、動き出した途端、列車は元来た方向へ…。「どうなっているの?」と聞いた私に、彼曰く「ぼくにも分からない。まあ、ロンドンだからね」というお答え。結局、一つ前の駅に戻ってしまい、そこで列車を乗り換えました。乗るときに行き先を確かめて乗ったはずなのに、なぜ、急に行き先が変わってしまうのか、いまだに謎のままです。
 ちなみに、特急と普通列車も、駅員に聞いてさえ乗り間違えました。普通列車のはずだった列車に乗り合わせていた何人かが、通り過ぎられてしまった駅に戻るために反対ホームに並ぶのを見ながら、「イギリス人、忍耐強いぞ」と密かに親近感を覚えていたのですが、最近では「ああ、また止まったのね」と思えるようになり、「そうかこれは忍耐ではなく日常だったのか、イギリス人…!」と悟りつつある日本人です。

 と、そうこうしているうちに乾燥機が空きました。
 溜まった洗濯物を、一気に乾かそうと思います。
 ちなみに、コインランドリーは安くて、しかも途中で止まりません。りっぱなものです、はい。

篠原久美子
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