2009年07月28日 (火) 08:29 | 編集
ある朝目覚めると、窓にとかげがはりついていました。
とかげは手足の指を五本ずついっぱいいっぱいに開いて、白い腹を見せていました。
私は一瞬ぎょっとして、しかしその小さな手足はけなげにも思え、とかげを「もみじ朗」と名付けたのです。
翌朝目覚めると、また窓に細長い影がありました。
「もみじ朗、おはよう」
と私は少し余裕の気分で眺めました。
しかしよく見ると、今回とかげが見せているのは腹ではなく、ごつごつした背中と鋭い目でした。
窓の内側にいるのです。そうです、インサイド。
もう、もみじ朗に親しみを込める余裕はありませんでした。
奴になんとかして出ていってもらわねば。
私は窓を薄く開けてみました。しかしその瞬間、奴は床へと降り立ち、畳の上を走ってどこかへ消えました。「どこか」が部屋の中であることは間違いありません。
私は虫取り網を購入し、もしも見つけたら丁重に外へとご案内しようと思ったのですが、それ以来、奴は一度も姿を見せなくなりました。
お互いの領域を侵害しないかぎり、もしかしてもみじ朗と私は平和に共存できるかもしれないと思い始めた今日この頃です。
守夏代

とかげは手足の指を五本ずついっぱいいっぱいに開いて、白い腹を見せていました。
私は一瞬ぎょっとして、しかしその小さな手足はけなげにも思え、とかげを「もみじ朗」と名付けたのです。
翌朝目覚めると、また窓に細長い影がありました。
「もみじ朗、おはよう」
と私は少し余裕の気分で眺めました。
しかしよく見ると、今回とかげが見せているのは腹ではなく、ごつごつした背中と鋭い目でした。
窓の内側にいるのです。そうです、インサイド。
もう、もみじ朗に親しみを込める余裕はありませんでした。
奴になんとかして出ていってもらわねば。
私は窓を薄く開けてみました。しかしその瞬間、奴は床へと降り立ち、畳の上を走ってどこかへ消えました。「どこか」が部屋の中であることは間違いありません。
私は虫取り網を購入し、もしも見つけたら丁重に外へとご案内しようと思ったのですが、それ以来、奴は一度も姿を見せなくなりました。
お互いの領域を侵害しないかぎり、もしかしてもみじ朗と私は平和に共存できるかもしれないと思い始めた今日この頃です。
守夏代

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