アルコールの話が続いて恐縮だが、興味深いテストを知った。
ある日、起きぬけのワイドショーで紹介されていたのだが、「これらの項目に３つチェックが付いたら専門病院に行きなさい。」という質問の羅列である。怖いもの見たさで試みたが、案の上３コ以上に自分の飲酒行動が当てはまった。嫌な朝である。
その中で「今日は飲むまいと思うのに飲んでしまう。」というのがあり、迷った。「飲むまい」と思うのは「飲みすぎは良くない。」と聞かされたり忠告されたり冷笑されたりした時に思うだけで、そうでなければ「夜が来るからビールを開ける。」というのに何の罪悪感もないのだ。「飲むまいと思うのに飲む」のは、親切な隣人に心動かされた折にしか現れない行動ではある。また他に「朝から飲む」というのもあり、さすがに日常的にはしていないがこれなどもってのほかのようで、そうなると私の敬愛する詩人など、真っ先にやり玉に挙げられるだろう。
そういえば二十歳の頃、まだ明るい時間に「ビールが飲みたい。」とお芝居の稽古中つぶやいたら、一人だけ賛同してくれた女子がいた。酔いたいのではなく、あの味が好きなのだということで一致したのだが、これも依存症の前触れかもしれない。同じ頃「利き酒の会」があるよ、と母に連れて行かれたところが「お酒とうまく付き合う方法」なるものを教えてくれる会で、パッチテストを受けさせられた。
依存した結果、本人にも家族や周囲の人々にも多大な被害が及ぶのはもちろん大変なことで、暗澹として、自分の生活を省みてしまった。

有吉朝子