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劇団劇作家ブログ
現在、劇団劇作家に参加している劇作家がお送りする日常のあれこれ
墓めぐり
2010年09月20日 (月) 10:42 | 編集
憧れの先輩に声をかけられたのは大学一年の頃。故郷の古い駅舎の片隅だった。彼は大学を卒業し、確か小学校の先生をしていたのだと思う。
「出かけるの?」「はい、あては無いのですが。」「何それ。」「せっかくのお休みに、家にいるのもつまらなくて。」
じゃあ良い所に連れてってあげるよ、と案内してくれたのは、
「谷中墓地……ですか。」「うん、ここにはいろんな人がいるんだ。さあ、まず獅子文六の墓に行こう、君、彼の作品好きだったよね。」
今から考えても相当にイケメンだった先輩との、最初で最後のデートは墓巡りで、それはそれでとても楽しかった。

前置きが長くなりましたが、上記のような経験があるからかどうかはともかく、私はお墓が大好きです。暇な時間があると、有名ではない寺でもちょっとお邪魔して墓石の風情や墓誌を眺めたり、そこから見る都会の空が少しだけ広い事を確認したり、ぼんやりした時間を過ごします。
先日は代々木にある正春寺の墓地に行きました。今回は、ある人の墓に参るための墓地行きです。菅野スガとその妹が眠っている場所なのです。ご存知の方も多いかと思いますが、菅野スガは100年前、明治天皇暗殺計画、いわゆる大逆事件(明科事件)に関わったとされる26人の被告の一人で、死刑になった人物です。当時からその捜査、取り調べ、裁判の正当性には強い疑問や抗議の声が上がっていましたが、幸徳秋水を含め、多くの社会主義者、無政府主義者が国家によって殺されました。
この事件を扱った作品を劇団劇作家のメンバーの一人、大森匂子が執筆し、9月末から上演されます。 

『花と爆弾』

作;大森匂子
演出;福正大輔(劇団ドロブラ)
キャスト;
小長谷勝彦(現代制作舎)
瀬戸正博(劇団舞台クラス)
本多 巧(劇団apple Apple)
有吉朝子(劇団劇作家)
岡 由里子
吉田まほ子
日時;
9月30日(木)19時
10月1日(金)14時、19時
10月2日(土)14時、19時
10月3日(日)13時、17時
場所;
千本桜ホール(東急東横線学芸大学前徒歩1分)
料金;
2800円
学生割引2500円、着物割引2300円(当日お着物でご観劇の方)
チケット取扱、お問い合わせ;
wagumi@docomo.ne.jp
090-4842-7324(森高)

幸徳秋水や荒畑寒村、菅野スガといった当時の思想家、文筆家達の人間模様の中から、「心ん中あったかいなあ(スガの台詞より)」と感じられる生活を獲得するために戦った人々を、その矛盾も含めて描きだします。

実は菅野スガの墓は、無くなった当時のものではありません。罪人ゆえに恐らくは木の目印のようなものしか建てられず、それが朽ちた後は何もなかったとか。戦後、その場所に石碑が置かれました。

「くろ鉄の窓にさし入る日の影の移るをまもり今日も暮らしぬ」

スガが獄中でうたった歌が刻まれています。

有吉朝子

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