2010年11月10日 (水) 06:15 | 編集
金銭的理由で映画館に足を運ぶ機会は少ないですが、たまたま今年は何本かの映画をロードショウ公開の劇場で見ました。その中で、殺人を扱った映画二つについて書きます。
一つは、若松孝二監督の『キャタピラー』(脚本=黒沢久子・出口出/主演=寺島しのぶ、大西信満)。「戦争」という名前の国家権力による大量殺人を描いた映画です。この映画で、寺島しのぶ氏は、ベルリン国際映画祭コンペティション部門で銀熊賞最優秀女優賞を獲得し、作品そのものも話題になりました。
この映画を見て凄いなと思ったのは、いわゆる「戦争シーン」はほとんどない替わりに、戦地で負傷し四肢を失った夫と、その残された食欲と性欲に応える妻の二人を描くことに大半の時間を費やしていることです。
見ていない方々のために詳細は略しますが、おそらく見た方の中には嫌悪感を覚えた方もいるだろうと想像されるシーンが多いのです。しかし、それらを含めて描かれた作品は、寺島氏の鬼気迫る演技と共に強烈な印象を与えてくれました。
好き嫌いはともかく、こういう切り口で「戦争」を描いた映画を見たのは初めてだったので、衝撃を受けました。
もう一つは、李相日監督の『悪人』(脚本=吉田修一・李相日/主演=深津絵里、妻夫木聡)。
出会い系サイトをきっかけにした殺人を描いた映画です。この映画でも、深津絵里氏がモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を獲得して話題になり、現在も公開中です。
この映画は、出会い系サイトで知り合った女性を殺してしまった男と、やはりサイトで彼と知り合って好きになり共に逃避行をする女を中心に、二人の家族や殺された女性の家族を描いています。
この映画を見て感心したのは、殺人などの暴力的なシーンはほとんどないのに、さまざまな人物の持つ悪意を巧みに描き分けている点です。そして、深津絵里氏の存在感のみならず、脇を固める役者陣がそれぞれに絶妙の味を出しており引き込まれました。
この二つを見て改めて思ったことは、「どんな物事を描くにもさまざまな角度があり、その角度によって見え方がまったく変わる」ということです。当たり前のことではありましょうが、改めて痛感しました。
校倉 元
一つは、若松孝二監督の『キャタピラー』(脚本=黒沢久子・出口出/主演=寺島しのぶ、大西信満)。「戦争」という名前の国家権力による大量殺人を描いた映画です。この映画で、寺島しのぶ氏は、ベルリン国際映画祭コンペティション部門で銀熊賞最優秀女優賞を獲得し、作品そのものも話題になりました。
この映画を見て凄いなと思ったのは、いわゆる「戦争シーン」はほとんどない替わりに、戦地で負傷し四肢を失った夫と、その残された食欲と性欲に応える妻の二人を描くことに大半の時間を費やしていることです。
見ていない方々のために詳細は略しますが、おそらく見た方の中には嫌悪感を覚えた方もいるだろうと想像されるシーンが多いのです。しかし、それらを含めて描かれた作品は、寺島氏の鬼気迫る演技と共に強烈な印象を与えてくれました。
好き嫌いはともかく、こういう切り口で「戦争」を描いた映画を見たのは初めてだったので、衝撃を受けました。
もう一つは、李相日監督の『悪人』(脚本=吉田修一・李相日/主演=深津絵里、妻夫木聡)。
出会い系サイトをきっかけにした殺人を描いた映画です。この映画でも、深津絵里氏がモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を獲得して話題になり、現在も公開中です。
この映画は、出会い系サイトで知り合った女性を殺してしまった男と、やはりサイトで彼と知り合って好きになり共に逃避行をする女を中心に、二人の家族や殺された女性の家族を描いています。
この映画を見て感心したのは、殺人などの暴力的なシーンはほとんどないのに、さまざまな人物の持つ悪意を巧みに描き分けている点です。そして、深津絵里氏の存在感のみならず、脇を固める役者陣がそれぞれに絶妙の味を出しており引き込まれました。
この二つを見て改めて思ったことは、「どんな物事を描くにもさまざまな角度があり、その角度によって見え方がまったく変わる」ということです。当たり前のことではありましょうが、改めて痛感しました。
校倉 元
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