2012年12月29日 (土) 23:42 | 編集

このブログでは初めて書きますが、実は昨年の震災以来、実行委員をしている「非戦を選ぶ演劇人の会」の活動を通して、だいたい一ヶ月に1回くらいの割合で被災地を訪れています。
避難所の閉鎖に伴う非戦の会の緊急支援が閉じられた後も、まったくの個人で仮設住宅や小学校などを訪れ続けています。といってもそれほど大したことをしているわけではありません。現地で活動をされている「コミュニケーションタイム」の太田久美子さんという方にご協力する形で、子どもたちと遊んだり、「お茶っこ飲み会」のお手伝いをしたりしています。そのなかで、「子どもたちがなにか喜ぶものを」とか「子どもとお年寄りが一緒に楽しく見られるものを」といった声にお応えする形や、「お茶っこ飲み会」に来ていただきやすいように、といったことなどで、人形劇やパントマイムの方をお呼びすることなどもしています。
今回は、俳優の西山水木さんと山口智恵さんのユニット「AnChie」の二人芝居、『大味噌村の昔話』をお呼びして、仮設住宅二カ所と、小劇場の練習室一カ所で計3回、上演していただきました。
前回、規模の小さな仮設住宅を訪れた時に、そこはあまり訪れる人も少なく、区長さんがお芝居好きで、「芝居見れたら嬉しなー」と言ってくださったことに答える形で、以前、お二人の舞台を拝見し、題材が東北の昔話であることや、三味線の弾き語りというお年寄りにも楽しんでいただける形式や、なによりも作品と俳優のお二人にたいへん魅力がありましたので、ぜひ、と思ってお声をおかけしましたところ、お二人とも快く承諾してくださいました。
最初の仮設では、お茶っこ飲み会は13時からでしたが、30分以上前からちらほらと来ていただき、13時までには、小さな集会所に40名近い方が集まってくださいました。「まーた横浜からお茶くみに来たの?」「もう、お茶くみ、大好きなんですよ」なんて言葉を交わしながら、皆さんに「お茶っこやって」もらいます。太田さんや現地のスタッフさんたちと一緒にお茶をくみ、お話ししますが、と同時に、スタッフの何人かで「14時から集会所でお芝居やりますよ」と一軒づつお声をかけて回ることもしています。お芝居やお茶っこにはいらっしゃれなくても、お声をおかけすることが大事だと教えてくださったのは、この地で毎週、「ふれあい喫茶」を営んで来られた、「東京災害ボランティアネットワーク」の方々でした。(現在は月一回営んでおられるようです)
40分の公演は途中で何度も拍手が起こるほどの盛り上がりで、終わった後、西山さんも山口さんもそのまますぐに舞台をおりて、大歓迎の中、皆さんと「お茶っこやって」くださいました。夜は、自宅の方や他の仮設の方もいらっしゃれるようにと劇場の小さな部屋で公演し、翌日は南三陸町の小規模の仮設住宅で、やはり公演と「お茶っこ飲み会」をしました。
公演はすべて無料です。
帰りがけに「この前のパントマイム、子どもたちが大喜びでした」「次は一緒に歌っこ歌える人がいいなー」「また来てね、待ってるから」などと言っていただけると、本当にありがたいと思います。
帰りはいつも、南三陸さんさん商店街という仮設商店街でお土産を買って帰ります。
西山水木さんと山口智恵さんに改めて感謝です。また、まったくの個人でやっているということを知って、交通費などを個人的にカンパしてくださった方々もいらして、本当に感謝しています。コミュニケーションタイムの太田久美子さんはじめ、現地のスタッフの方々やお手伝いくださる方々には、感謝の言葉が追い付かないくらいです。
……
今年もまもなく終わりに近づき、あの震災と津波と原発事故から、もう間もなく二年です。
今、これを書きながら、ブログ、という場所では書かないことばかりが、胸のなかで、ざわざわと、ちくちくと、じくじくと…音をたて続けています…。
篠原久美子
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