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劇団劇作家ブログ
現在、劇団劇作家に参加している劇作家がお送りする日常のあれこれ
『世界が私を嫌っても』まもなく初日!稽古場便り
2022年12月12日 (月) 10:44 | 編集
『世界が私を嫌っても』
15日の初日を前に、先日、小屋入り直前の稽古場にお伺いしてきました。

私が伺ったのは、芝居の前半から中盤にかけての場面を通す稽古の日。

諏訪の田舎でトルストイやゾラとなることを夢見ながら、友人たちと笑い話に興じていた少女、平林たい子。
彼女が故郷を飛び出し、貧困や迫害、娘の死、作家として芽が出ぬ日々に挫折しかけながらも、故郷の友人の訪問をきっかけに奮起するまでを、見させて頂きました。

作者である有吉朝子さんが書き、小石川桃子さんの演じる平林たい子は、走る火の玉のような人です。
勢いが弱くなることはあっても、けして消えない炎をずっと抱えているような煌めきと、女性が自立し、書き、学ぶことにまだまだ偏見があった時代のむかい風から、それを必死にかばっているような切実さや怒りが、台詞や佇まいから発光しています。
本作には、平林たい子をはじめ、日本の歴史に名を遺した実在の作家達が大勢登場しますし、彼らの個人史と激動の時代は切り離せない関係があります。

作家としての栄えある功績や苦難、たい子が矜持や理想を戦わせる場面も見ごたえがありますが、そうした歴史のなかの大きな出来事だけではなく、まだ定まらない夢を語ることや友人同士で笑いあうこと。お弁当を喜んだり、幼い子のおしめを変え続ける暮らしのこと。病を得た友人に林檎をすりおろそうかと聞く日常もまた細やかに書かれているところが、個人的にとても好きです。
「林檎のシャクシャクという音を響かせたい」
「この場面の間に林檎を食べきるのを芝居の都合のように見せたくない。ちゃんと林檎を食べられるようにしたい」
「真面目な話をしようとしていることと、恋人を可愛いなと思う気持ちを同時に進行させてください」

稽古中は、ごく普通の人間の営為にも、演出家の西本由香さんの丁寧な目が配られています。

作家、平林たい子の人生を軸に、戦前、戦中、戦後の国の変遷の歴史も描く、大河ドラマのような本作。
戦争をはさむ歴史の、うねるような大きな流れを背景にしながらも、時に流転し、時に羽化を遂げる個人史の悲喜こもごもが、その波間にしっかりと浮きたっている様が、この劇の見どころになっています。


『世界が私を嫌っても』15日に初日の幕があがります。
おかげさまでお席の少ない回も出てきておりますが、以下の予約フォームからのご予約受付中です。

https://www.quartet-online.net/ticket/wj4rqze

公演情報はこちらから
http://gekisakka.blog100.fc2.com/blog-entry-674.html?sp

皆様のご来場をお待ちしております。
(文責:モスクワカヌ)

劇団劇作家主催12月公演 「日本の劇」戯曲賞2020佳作選出作品  
平林たい子没後50周年記念

『世界が私を嫌っても』

脚本:有吉朝子(劇団劇作家)
演出:西本由香(文学座)

■あらすじ
明治38年、平林たい子は信州諏訪に生まれた。幼なじみの伊藤千代子と女学校へ進み卒業の夜、大作家を夢見て東京へ旅立つ。
「夢が無ければ死んだも同じ」と自らの信念に基づき行動するたい子。流浪の身となり我が子の死を経験する。林芙美子と本郷で共同生活、活動家となった千代子とも再会する。やがて流行作家に成長、夢を実現したかに見えた。しかし日本は戦争へ突き進み言論への弾圧が強まる。抵抗した彼女は捕らえられ病によってペンの持てない体となる。
世間には再起不能と思われたが敗戦後は文壇に復帰、「不死鳥」と称賛される。だが彼女の身辺に再び不穏な空気が漂うのだった…。
(この作品は実在の人物をモデルにしたフィクションです)


■会場:TACCS1179
161-0034
東京都新宿区上落合1-17-9
※西武新宿線「下落合」駅徒歩3分
※会場は地下にありエレベーター等の設備がありません。恐れ入りますが、車いすでのご入場が難しい旨あらかじめご了承ください。


■日時:2022年12月15日(木)~18日(日)
12月15日 14:00/19:00★
12月16日 14:00/19:00★
12月17日 13:00/18:00★
12月18日 13:00

※★ナイトチケット
※開場は開演の30分前
※12月16日(金)19:00はLIVE・アーカイブ配信をします


■チケット料金(全席自由)
一般:前売り4800円(当日5000円)
学生U-18:3500円
★ナイトチケット:4300円
障がい割引:2500円
配信:2000円(映像配信チケットはPeatixにて販売、詳細は後日発表)

※学生U-18は、学生の方、18歳以下の方のための割引チケット。当日受付で学生証もしくは年齢を確認できるものをご提示ください。
※障がい割引は、障がい者手帳(身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳)をお持ちの方にお求め頂けるチケット。当日受付にて障がい者手帳をご提示ください。






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