劇団劇作家ブログ
現在、劇団劇作家に参加している劇作家がお送りする日常のあれこれ
スポ魂!
2009年11月25日 (水) 02:56 | 編集
相馬です。
最近、スポ魂アニメにハマっています。
この一週間は「巨人の星」と「YAMARA!」を観ました。


まず「巨人の星」です。スポ魂の代名詞とも言える作品ですね。私、小中の7年間野球をやっておりましたもので、野球モノにはかなり甘いのですが、そのような軟派な態度で視聴しては名作に失礼だと思い、部屋を真っ暗にしてパソコンに全神経を集中させて観ました。
その結果、この作品は野球の厳しさを描いているのではなく、父権の重要性を訴えているのだと気づきました。分かりやすいところで言えば、野球の絵に全くリアリティがないです。これは野球を知らない人が絵を描いているからなのですが、それを梶原氏が許したのは力点を野球自体に置いていないからだと言えると思います。またドラマポイントが野球自体の駆け引きではなく、主人公の精神的な葛藤(概ね父の仕掛けた障害)に置かれていることからも分かります。そのことに共感するかどうかは別として、徹底的に息子を追い詰める父親の姿は情念のようなものを感じ、引き込まれます。
ツッコミどころは多いですが、動機の強い作品の持つ力を改めて感じさせてくれました。


続いて「YAWARA!」です。私の祖父は地元では有名な柔道家で、祖父の強い勧めで5歳の時に全国大会の常連である道場に入ったことがあるのですが、常連だけあって尋常ではない稽古の厳しさに3日で辞めたことがありました。その時の祖父の悲しそうな顔がいまだに忘れられず、せめてもの罪滅ぼしと思い、正座をして観ました。
これは「マスターキートン」や「20世紀少年」でおなじみの浦沢直樹氏の作品です。観る前は太宰でいう「走れメロス」、芥川でいう「杜子春」のような位置づけかと思い込んでいましたが、全く違いました。浦沢氏の魅力と技術力が如何なく発揮されています。(後で調べたところによると、浦沢氏は「YAWARA!」のような作風でスタートしているのですね)
話の軸は柔道界の権威の祖父と天才柔道家の孫で、ここだけ見れば「巨人の星」の父子に近いですが、こちらの孫は徹底的に柔道に背を向けます。こういうことをすると「巨人の星」では必ずしっぺ返しがくるのですが、孫は天才ですからサボっていてもしっかり結果を出します。自ら放棄しないかぎり、試合に出れば絶対勝ちます。この辺90年代初頭の時代感覚をよく捉えていると思います。
とは言え苦戦することはあるのですが、そういう時は柔道の本質的なところに救いがあるように作られていて、柔道でなければいけない作品だと実感しますし、単にバブルに浮かれているわけではない(深読みをすれば柔道の精神がバブルに浮かれる人々に警鐘を鳴らしている)と分かります。
そしてこの作品の最大の魅力は登場の少ない人物も作品に貢献していることと言えます。具体的には主人公を追い詰めたり、クライマックスに向けて盛り上げたりといったことに必要不可欠な書かれ方をしているのです。125話もあるというのに、ここまで緻密な計算はなかなか出来ることではないと思います。
ただ「巨人の星」を観た時のような動揺はありませんでした。面白く作られているし、クライマックスでは惹きつけられるものの、安心して観ていられます。


今の自分は作風として「YAWARA!」なのですが、今後は「「YAWARA!」と見せかけて実は「巨人の星」だった」というような作品創りをしていきたいと思っています。


相馬杜宇


余談ですが、「巨人の星」は昔舞台化もされています。大掛かりな転換など出来ない時代です。
どうすればあれが舞台になるのかとても興味があります。もし知っている方がいましたら様子を教えてください。




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